被害の多くは「侵入」ではなく「気づくのが遅れた」ことから始まります
不正アクセスの相談を受けていると、
実はこんな言葉をよく聞きます。
「いつから侵入されていたのか分からないんです」
この一言に、
WordPressセキュリティの本質が詰まっています。
多くの被害は
侵入された瞬間よりも、
侵入に気づくまでの時間で大きくなります。
そして、その「気づき」を支えるのが
ログと通知です。
この記事では、
「ログはあるけど見ていない」
「通知は来るけど放置している」
そんな状態から抜け出すための
現実的な運用設計をお伝えします。

ほとんど方が、ログも通知も「気になっているけど見ていない」のが現状です。
1. ログと通知はセキュリティ対策そのものではない
まず大事な前提です。
ログや通知は
攻撃を防ぐものではありません。
役割はただ一つ。
「異変に、いち早く気づくこと」
・防御 → セキュリティプラグイン
・復旧 → バックアップ
・判断 → 脆弱性情報
・発見 → ログと通知
ここが欠けると、
どれだけ対策をしていても
「静かに壊されていく」状態になります。
2. よくある「ログ・通知が機能していない状態」
実際の現場で多いのは、次のようなケースです。
- ログはあるが、誰も見ていない
- 通知が多すぎて、重要なものが埋もれている
- 通知先が個人メールで、休みの日は誰も見ない
- 「ログイン成功」だけ見て「失敗」を見ていない
- 深夜・海外アクセスに気づけない
設定しているつもりでも、
運用されていなければ意味がありません。
3. 最低限、見るべきログ・通知はこの4つ
すべてを見る必要はありません。
見るべきものだけ 押さえれば十分です。
① ログイン失敗の急増
短時間で大量の失敗ログが出ていたら、
それは自動攻撃のサインです。
② 管理者アカウントでのログイン
特に
・深夜
・休日
・海外IP
からの管理者ログインは要注意。
③ ユーザー追加・権限変更
知らない管理者が増えていたら、
それは「侵入後」の可能性があります。
④ プラグイン・テーマの変更
・自分が触っていない
・作業予定がない
それなのに変更履歴があれば、
誰かが入っています。
4. 通知は「全部オン」にしない方がいい
これは意外に思われるかもしれません。
通知を増やしすぎると、
人は必ず無視するようになります。
おすすめは以下の考え方です。
通知は3系統だけ
1. 緊急(即確認)
・管理者ログイン
・権限変更
・ファイル改変
2. 注意(当日中)
・ログイン失敗多発
・プラグイン更新
3. 記録(ログのみ)
・通常ログイン
・閲覧履歴
通知は「判断を迫るもの」だけに絞る。
それが運用を続けるコツです。
5. 一番の落とし穴は「人が見る前提」の運用
ここが、実務で一番の問題点です。
- 夜中に通知が来る
- 土日に攻撃される
- 担当者が休み
- メールを見ていない
この状態では、
通知が来ても意味がありません。
だから多くの企業で、
「気づいたときには被害が広がっていた」
という事態が起きます。
6. 現実的なログ・通知の運用設計(3段階)
レベル1|個人・小規模サイト
- 通知は最小限
- 週1でログ確認
- 管理者は1〜2名
レベル2|企業サイト
- 通知は共有メール
- 権限変更は即通知
- 月1でログ棚卸し
レベル3|保守委託・外部監視
- 夜間・休日も監視
- 異常時の一次対応
- 定期レポートで可視化
ここで初めて、
「気づける体制」が完成します。
7. ログを見ることは、誰かを疑うことではない
ログを確認するというと、
「監視しているみたいで嫌だ」
と感じる方もいます。
でも本質は逆です。
ログは
誰かを責めるためのものではありません。
- ミスが起きても責任を押し付けない
- 事故になる前に止める
- 安心して運用できる環境を作る
それは
人を守るための仕組みです。
まとめ|「最初に気づける」ことが、最大の防御になる
不正アクセスは、
必ずしも防げるとは限りません。
でも、
被害を最小限で止めることはできる
その分かれ道が、
ログと通知の運用です。
・何を見るか
・誰が見るか
・いつ気づけるか
この3つを整理するだけで、
サイトの安全性は大きく変わります。

