WordPressのトラブルは、
システムの脆弱性ではない「権限設定ミス」からも始まります。
この記事では、
日常運用の当たり前が、実は大きな事故を生む
という現実をわかりやすく解説します。
そして最後には、
今日からできる安全な権限設計の実践方法をまとめています。
「難しい専門話」はしません。
一緒に事故を防げる仕組みを作っていきましょう。

特に退職者アカウントは放置されがちで、「困った」という依頼も受けています。
1. WordPressでよくある「権限設定ミス」
権限まわりのトラブルは、ほぼこの5つに分類されます。
① 管理者(最高権限)が多すぎる
管理者は「すべての操作」ができる最高権限です。
これが3名以上いるサイトは、事故の確率が一気に上がります。
- 誰が変更したかわからない
- 不正アクセスがあっても気づきにくい
- うっかりや誤操作で重大事故につながる
責任が分散しているため、
トラブル時に原因の追跡が非常に難しくなります。
② 制作会社・外注アカウントが残ったまま
制作直後のあるあるです。
- 制作会社が作業用に管理者を作成
- 納品後も権限が残ったまま
- 契約終了後もアクセスできる状態
リスクが高いのは、
最高権限の管理者が長期間放置されることです。
③ 退職者アカウントが有効のまま
企業サイトで最も多いパターンの1つです。
- 退職者が過去に使っていた管理者アカウント
- 代理店内部で人事異動
- パスワードが使い回されていた
仮に本人に悪気がなくても、
そのアカウントを狙った攻撃が成功してしまうケースがあります。
④ 必要以上に強い権限を与えている
本当は「投稿だけ」触れれば十分なのに、
なぜか管理者権限。
これは、
「どの権限を選べばいいかわからない…」
という心理から起きがちです。
⑤ ログイン履歴が追えない設定になっている
セキュリティプラグインを入れていなかったり、
履歴が残らない状態だと、
- 不正アクセス
- 意図しない設定変更
- プラグインの削除
- 怪しいログイン試行
すべて原因不明のままになります。
2. 権限設定ミスが招く「現実の事故」
ここからは、実際に起きることを具体的に。
① 設定の改ざん・表示崩れ
権限が強すぎるアカウントが誤って操作すると、
- 表示が崩れる
- 問い合わせフォームが動かない
- ページ全体が真っ白になる
「触ったつもりがないのに壊れた」
と言われる理由はここにあります。
② 知らないプラグインが勝手に入る
制作会社や外注の痕跡が残っているサイトでよく見られます。
- 便利だから追加した
- テストのつもりだった
- チームなのに誰が入れたかわからない
管理者が複数いる=誰でも入れられる
という構造が生むトラブルです。
③ 不正アクセス後にバックドア(攻撃者の侵入口)を仕込まれる
攻撃者は、1回侵入できたら終わりではありません。
- 不正ファイルを設置
- 別の管理者アカウントを密かに作成
- プラグインにコードを埋め込む
これらは権限が整理されていないと、見つけるのが極端に難しい。
最悪のケースは自サイトが攻撃の踏み台になること。
④ 人事異動・退職がそのままリスクになる
退職した人のアカウントが残っていると、
- パスワードが漏洩した時に悪用される
- 権限が高い場合、全ての操作が可能
- 深夜でもログインされてしまう
企業で最も危険なのは、
誰も気づかないままサイトが操作されること。
3. なぜ権限設定ミスが起きるのか?
実は、責めるべきは人ではありません。
WordPressの権限体系が分かりにくい
投稿者・編集者・管理者…
何がどこまで編集できるのか分かりづらい。
組織はアカウントが増える構造を持っている
納品・引継ぎ・外注・確認者…
気づいたら10アカウントなんて普通です。
権限見直しのタイミングがない
「定期的にアカウントを棚卸しする」文化がない。
強めの権限にしておけば間違いないという誤解
これが最大の落とし穴です。
4. 安全な「権限設計」5つの基本
ポイントはシンプルでいいんです。
① 管理者は1〜2名で十分
多くても3名まで。
「触っていい人」と「触らなくていい人」を明確に。
② 外注アカウントは作業終了後に停止
必要なら「一時的な編集権限」で充分。
制作会社も悪気があるわけではなく、
仕組みの問題です。
③ 退職者・離職メンバーのアカウントは即停止
使わないアカウントはただのリスク。
何もしていなくてもパスワードは漏れます。
④ 必要最低限の権限を付与する
WordPressには役割があります。
- 管理者(すべて)
- 編集者(コンテンツ管理)
- 投稿者(自分の投稿のみ)
- 寄稿者(下書きのみ)
「広すぎる権限」は事故の元。
⑤ ログイン履歴と不審ログのチェック
プラグインで簡単にできます。
- 不正ログイン試行
- 深夜のアクセス
- 海外からのログイン
- アカウント追加
- プラグイン変更履歴
気づく仕組みがあれば、事故は大きくなりません。
5. すぐ使える「権限整理テンプレート」
アカウント棚卸しチェックリスト
| 管理者は2名以内か | Yes/No |
| 退職者アカウントが残っていないか | Yes/No |
| 制作会社アカウントが残っていないか | Yes/No |
| 投稿のみの人に管理者権限を与えていないか | Yes/No |
| ログイン履歴が確認できる状態か | Yes/No |
権限見直しの推奨頻度
半期に1回
人事や体制が変わりやすい時期に。
権限の最適化ルール案
- 新規メンバーには最小権限
- 外部委託には期限付きアカウント
- 管理者権限は理由付きで付与
- 年1回は総点検
6. 権限管理は「思いやり」でもある
権限管理は、
冷たい作業に見えてとても温かいものです。
- 誰かを責めないための仕組み
- ミスが起きても傷つけないための仕組み
- 仕事を止めずに守るための仕組み
- みんなが安心して触れるサイトにするための仕組み
まとめ|今日やるべき3つ
- 管理者アカウントが多くないか確認する
- 退職者・制作会社アカウントを整理する
- 必要最低限の権限に見直す
「人のミス」はなくなりませんが、
「ミスしても事故にならない仕組み」は作れます。
権限管理は難しくありません。
小さな見直しが、
大きな安心と信頼を作ります。

